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GPSでクマ行動調査[宮城県]

 クマが人里で相次いで出没しているため、県は7月にも、全地球測位システム(GPS)を利用したクマの行動調査を始める。GPS機能が付いた首輪を捕獲したクマに装着し、人工衛星で位置情報を確認、クマが行動する範囲や時間帯を正確に把握して、人的被害の減少につなげるのが狙いだ。

 県によると、2007年度に283件だったクマの目撃情報は、13年度に512件に増加。今年度は6月25日時点で174件と、前年度同期比で7件上回る。

 県はこれまで、市町村から寄せられるクマの目撃情報や、山に設置した監視カメラを使って生態を調べてきたが、詳細な行動パターンを解明できなかったため、GPSを利用した調査に乗り出すことにした。

 調査は仙台市内で行い、山の麓の民家や畑周辺など別々の場所で捕獲したクマ2頭にGPS機能付きの首輪をはめ、山中に放す。人工衛星を通じて追跡されたクマの位置情報は、首輪に内蔵されたメモリーカードに保存される。首輪は、クマが冬眠に入る12月頃までに遠隔操作で外して回収し、行動範囲や時間帯を解析する。首輪が壊れた場合に備え、週1回程度、アンテナを用いてクマの所在を確認する。

 調査は、同様の手法により、山形県などでクマやイノシシ、サルの生態を調べた実績のある東北野生動物保護管理センター(仙台市青葉区)に委託する。県自然保護課は「クマが頻繁に現れる場所や時間帯が分かれば、出没を事前に予想して、住民に注意を呼びかけることができる」と期待している。

◇今年2人けが

 今年、クマに襲われ、けがを負ったのは、6月末現在で2人。

 大崎市岩出山では25日夕、会社員の男性(63)がため池の堤防付近でクマに顔や首を引っかかれた。「目の前の草むらから突然現れた。近くにとめていた車に無我夢中で逃げ込んだ」。男性は県警に当時の状況を語った。クマは親子とみられる2頭で、男性を襲ったのは体長1メートル70ほどの親グマだった。

 大和町の山林では16日夕、山菜採りをしていた男性(79)がクマに手をかまれた。

 NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県廿日市市)の米田一彦理事長によると、昨年はクマの餌となるブナの実が豊作だったため母グマの栄養状態が良く、子グマが増えたとみられる。また、東京電力福島第一原発事故で立ち入れなくなった区域では、捕獲されずに頭数が増加、県南部の山地に行動範囲を広げている可能性もあるという。

 米田さんは「ブナやミズナラが凶作になった場合、クマが餌を求めて山を下りてくる恐れもある」と指摘。▽山に入る時は高音の出る鈴を付ける▽クマは横の動きを追う習性があるため、出会ったら後ずさりして樹木のかげに身を隠す――ことをアドバイスしている。

2014年07月01日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 
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