社会 : 林道の外来植物駆除 南ア食害対策協「効果大きい」
南アルプス食害対策協議会は30日、南ア林道沿いに生えた外来植物を駆除した。構成団体の伊那市や南信森林管理署、信州大学農学部などから28人が参加し、歌宿(1680メートル)から戸台口(960メートル)までを駆除しながら歩いた。同行した信大農学部の渡邉修准教授によると、外来植物の生息数は昨年初めて駆除した効果があり、大幅減という。渡邉准教授は「昨年と比べてかなり減った。林道は人が歩かないので駆除した分だけ効果が大きい」と分析する。 外来植物は主に人間が生活する場所で人に運ばれて繁殖するが、標高の高い山岳地帯にも侵入範囲が広がっているという。在来植物が繁殖力が強い外来植物との生存競争に負ける可能性があるため、昨年から南ア林道での駆除と調査を始めた。 同協議会の昨年の調査でヒメジョオンやビロードモウズイカ、メマツヨイグサなどが侵入していることが分かった。今年の駆除と調査で、駆除効果と新たな侵入がないかを比べ、今後の対策に役立てる。 参加者たちは歌宿を出発すると、歩きながら外来植物を探し、見つけると根から引き抜いた。市の世界自然遺産推進室によるエコパークとジオパークの説明もあり、地層の変化を感じながら林道を下った。 渡邉准教授は「(繁殖を助ける)昆虫が外来種に取られれば在来種が繁殖できなくなる。昨年よりだいぶ減っているので、林道は人が歩かない分、駆除による効果があったのでは」と手ごたえを話す。 夏休みの理科研究で参加した長谷小学校6年の小松駿斗君は「南アにはいろいろな種類の植物があることがわかった。外来種をたくさん駆除できてよかった」と感想を話した。 外来種の駆除をしている国立公園は、南ア林道と北ア上高地だけという。