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ニホンカモシカの生態影響 ニホンジカ生息域が急拡大 [長野県]

■県獣で特別天然記念物 

 特別天然記念物に指定され、県獣としても親しまれているニホンカモシカだが、その生態が急速に生息域を広げているニホンジカによる影響を受けつつあることが、県の調査などで分かった。8月1日から計画期間が始まる「第二種特定鳥獣管理計画(第4期カモシカ保護管理)」は、「ニホンジカの生息密度がカモシカの生息に影響を与えている可能性が高い」と明記し、ニホンジカ捕獲強化の必要性などを指摘している。

                  ◇

 同計画は、餌が競合するカモシカとニホンジカとの関係に1項目を割き、その中では平成6年から21年まで県南部地域(飯田市旧上村、同旧南信濃村)で行った生息密度調査の結果を提示。それによると、1平方キロ当たりの平均生息密度は、カモシカが6年の1・26頭から減少し、12年以降は0・30頭程度でほぼ横ばいだった。

 これに対して、ニホンジカは6年の2・48頭から17年には11・46頭まで増加し、その後は減少傾向もみられたが高い水準で推移している。餌が競合するニホンジカの生息密度の上昇が、カモシカの生態に影響を与えていると分析する。

 カモシカの県内における生息状況について、同計画は26年の推定個体数を8248頭とし、プラスマイナス5079頭の誤差を見込む。21年時点では、1万1997頭プラスマイナス3970頭だったことから、明らかに減少傾向を示している。

 地域個体群ごとの生息分布を見ると、南アルプス地域で生息域が減少しているが、県北部や群馬県や埼玉県境の関東山地地域では生息域を拡大している。減少している地域は、ニホンジカによる農林業被害が顕著だったり拡大したりしている地域と重なっており、カモシカがニホンジカが少ない県北部に追いやられていることが推測されるという。

 名称に同じ「シカ」がつく動物だが、ニホンジカはシカ科であるのに対し、カモシカはヤギやヒツジと同じウシ科に属する。餌が競合していることから、県鳥獣対策・ジビエ振興室は「これまでカモシカによる農林業の食害とみられていた部分も、その一部はニホンジカによるものと推測される」と指摘する。このため、計画は「被害発生地域での加害獣の見極めを十分に行い、適切な防除対策をとることが求められる」と明記した。

 また、ニホンジカを捕獲するために仕掛けたわなにカモシカがかかる「錯誤捕獲」の事例も少なくない。計画を答申した17日の県環境審議会の議論でも、錯誤捕獲の影響が拡大していることを懸念する意見が出された。これに対し、同室の宮宣敏(のぶとし)室長は「カモシカがわなにかかった場合は、放獣するが、報告の義務などはないので錯誤捕獲の実態は分からない。ただ、誤って捕獲されるカモシカは増えていると聞いており、よく問題点を検討したい」と答えた。

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