日本版万里の長城?鳥獣侵入防止に長~い門設置[山口県]
鹿やイノシシによる農作物被害を防ごうと、山口県と同県長門市は今年度から2年をかけ、同市の山間部と沿岸部を隔てる全長約60キロの鳥獣侵入防止柵を設置する。
柵は市の東西をほぼ横断し、県と市町がこれまで県内で整備した防止柵(570キロ)の1割超の長さ。農林水産省と県によると、ここまで広範囲の防止柵は九州・山口では珍しいという。
柵は、市西部の油谷伊上地区から東部の三隅上地区にかけ、広域農道沿いなどに設置する。鋼鉄製で、耐久年数は約30年。鹿が飛び越えないように、高さを1・8メートルにする予定。総事業費は約6億円で、農水省、県、市が負担する。
全体のうち13キロ分は、農家が個人的に設置した既存の柵を活用する。完成すると、市の農地全体の17%にあたる約570ヘクタールが柵を隔てて北の沿岸側に入り、鹿やイノシシの侵入を防ぐことができるという。今秋にも着工される。
長門市では、これまでも各農家の田畑を囲む形で柵を設置してきた。しかし、鳥獣による食害は減らず、近年の被害額は年間5000万~6000万円台で推移している。
県によると、鹿については2009年度、下関、長門、美祢の3市の山間部に計3597頭が生息し、06年度に比べて4割増えたと推計されている。耕作放棄地が増えたことに加え、温暖化で鹿の長寿命化が進んでいることなどが原因という。長門市は県に抜本的な対策を要望していた。
県農村整備課は「これだけの規模の防止柵の設置は初めて。効果が確認できれば他の地域でも導入を呼びかけたい」としている。
2014年06月12日 16時43分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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