クマ出没対策徹底を 陸前高田市で緊急会議 情報共有など確認[岩手県]
今春から相次ぐクマ目撃情報を受け、陸前高田市は対策緊急会議を23日に市役所で開いた。関係機関への連絡と連携を充実させるとともに、住民への広報、啓発に力を入れる方針を確認した。 会議には市農林水産部や保育園を管轄する民生部、小中学校を担う教育委員会に加え、大船渡警察署、県大船渡保健福祉環境センター、猟友会の関係者ら10人が出席。農林水産部からは、これまでの目撃情報に関する説明が行われた。 市内では本年度、4月の横田町・舞出地区を皮切りに目撃情報が相次ぐ。先月には町内でタケノコの食害も報告された。 今月10日には小友町雲南地内の主要地方道大船渡広田陸前高田線を車で走行していた住民が、道路を横断するクマを目撃。近くを歩いていた中学生に知らせながら帰ったという。また19日には、高田地区・被災市街地復興土地区画整理事業の造成が進められてきた高台②(高田一中北側)で、クマとみられる足跡が見つかった。 猟友会関係者からは、これまで小友、広田地区ではほとんど出没情報がなかったとした上で「砂浜にも足跡が残っている。出没機会が増えてきたと感じている」との発言も。市内では今後果物類の生育が進む中、さらなる出没増加懸念も話題に上った。 県では今年3月に「ツキノワグマの出没に関する注意報」を発令。エサとなるブナの結実が「皆無~凶作」となることが見込まれる中、子連れグマが出没する可能性が高く、夏から秋にかけては多くが食物を探して広範囲に動き回り、人里周辺に出没すると予測している。 安全確保には迅速な通報が重要との認識で一致したほか、行政と猟友会メンバーで構成する鳥獣被害対策実施隊、警察、教育・保育機関などとの緊密な連携を確認。住民向けには生ごみや放置果樹の除去に加え、農作業時にクマに対して住民の存在を知らせる工夫を行うよう広報、啓発に力を入れる。 市では人家近くでの目撃時には市役所(℡54・2111)へ連絡するよう求めている。