食害のニホンザル「10年で半減へ」 環境・農水両省
野生のニホンザルによる農作物被害を防ごうと、環境省と農林水産省は、田畑を荒らす群れを今後10年間で半減させる目標を決めた。これまで猟銃やわなで1匹ずつ捕まえてきたが、社会性のあるニホンザルは群れで動き、農作物を食べる行動が次世代に引き継がれるため、大型のオリなどを使い、群れを狙う対策に新たに乗り出す。
環境省の調べでは、ニホンザルは、全国に推定15万5千匹、群れは3千ある。北海道、茨城、沖縄県を除く44都府県で確認され、生息域の面積は過去25年間で1・5倍に拡大した。人里近くで農作物を食べて生活する群れもあり、農水省によると、野菜や果樹を中心に年間約15億円の農業被害が続いている。
2日には、専門家によるニホンザルの管理に関する検討会が都内で開かれた。環境省は、自治体が計画を立てる際の指針を来年度中に見直す方針を提示。加害群の特定や捕獲の効果を高めるモデル事業も支援するとした。実際の対策はこれまで通り都府県や市町村が担う
※写真は「人里に出て柿の実を食べるニホンザル=三重県農業研究所」