熊:石川で目撃倍増、住民警戒 今年106件、2人重傷[石川県]
石川県内で先月から、熊の目撃情報が急増している。県警に今年寄せられた情報は金沢市を中心に106件(13日現在)で、昨年の同時期(51件)に比べて倍増した。熊に襲われた被害も2件起き、2人が重傷を負った。金沢市御所町で先月末、散歩中の夫婦を襲った熊を、一緒にいた飼い犬が撃退したニュースが注目を集めたこともあり、住民の警戒感が強まっていると見られる。【中津川甫】
県警地域課によると、月別の件数は、3月1件(前年0件)▽4月9件(同4件)▽5月20件(同25件)▽6月39件(同16件)。今月も13日現在、37件寄せられ、昨年同日時点(6件)の6倍。
住宅地に近い山間によく出没し、子熊の目撃情報が多い。
先月28日には、金沢市御所町2の山道で、市内の63歳男性が散歩中に木に登っている子熊を目撃した直後、後ろから親熊に頭や尻をかまれて重傷を負った。親熊に立ち向かって追い払った飼い犬が大きく報道され、熊出没に関心が集まるきっかけとなった。白山市の山林では、駆除中の50代男性が熊に顔をかまれた。
加賀市奥谷町の北陸自動車道では今月4日夕、熊が侵入防止柵(高さ1・5メートル)を飛び越えて侵入。下り線を走っていた中能登町の男性(36)の運転する車に衝突し、数メートルはね飛ばされた後、柵をよじ登り山中に走り去ったという。車はバンパーが破損したが、男性にけがはなかった。
県自然環境課は「今の時期は例年交尾や子離れなどで熊が活発化し、目撃が増える」と指摘。県警地域課の山崎哲朗次席は「家の周りに生ゴミを捨てたり、子熊を見かけても近付いたりしないでほしい。目撃情報があった一帯の見回りを強化したい」と話している