「クマ9月頃から里山に」ブナ大凶作で注意[新潟県]
県は、ツキノワグマの主食であるブナやミズナラが今秋、県内のほとんどの地域で木の実をつけていないか、わずかの結実にとどまっていたとする調査結果をまとめ、5日開かれた被害防止対策連絡会議で報告した。熊が人里に大量に出没する危険性が高まっているとして、出席した市町村の担当者らを通じて県民に注意を呼びかける。
調査は7月下旬から約1か月間、佐渡市と粟島浦村を除く28市町村の293地点で行い、冬眠を控えた熊の栄養源となる5種類の木の実を調べた。奥山に比較的多く分布するブナやミズナラの凶作が目立ち、特にブナは、木の実の付き方を少ない方から0~3の値で示した豊凶指数が0・29にとどまり、7件8人の人的被害があった2012年度の0・27とほぼ同水準だった。一方で、里山に多く分布する栗やオニグルミの実は、豊作の場所もあった。
新潟大農学部の箕口みぐち秀夫教授はこうした結果から、「奥山が不作なので、熊は9月頃から里山を中心に活動し、その後、人里にも出没する可能性が非常に高い」と指摘している。
県によると、今年度の熊の目撃件数は8月末までに374件に上り、過去9年間で最も多くなっている。
連絡会議では、〈1〉早朝や夕方の入山を避ける〈2〉山に入る時は鈴やラジオなどを携行する――などの熊よけ対策が周知された。