クマの農業被害防止へ研修会 寒河江で有効対策など指導者学ぶ[山形県]
野生動物による農業被害の防止に向けた鳥獣被害対策指導者養成研修会が10日、寒河江市の県村山総合支庁西庁舎で開かれた。県内各市町村やJA、猟友会などから約70人が参加し、ツキノワグマの生態や被害状況、有効な対策について理解を深めた。 動物の生態を知るリーダーを養成し、各地域で被害防止に役立ててもらおうと県が主催。今年は初めて、ニホンザルやイノシシなど動物ごとに講座を組んでおり、5月から計6回の日程で専門家が指導している。 5回目のこの日は、ツキノワグマの生態に詳しい青井俊樹岩手大農学部教授が講師を務めた。生息環境によって活動時間が変わる実例や、畑に捨てられた廃棄果物の匂いがクマを人里に引き寄せていることなどを解説。クマは縄張りを持たないため、駆除だけでは効果に限界があるとして「唐辛子入りスプレーを浴びせたり、電気柵を用いたりしてクマに怖いものがあるということを学習させることが大切」と指摘した。 この後、参加者はクマよけ用の電気柵を昨年から導入している寒河江市幸生のブドウ畑を見学。電線の適切な本数や高さ、周囲の草を刈って漏電を防ぐといった管理ポイントを学んだ。最上町猟友会の黒坂孝さんは「クマが近寄らなくなったと聞き、参考になった。町民に自信を持って指導していきたい」と話していた。 県によると、クマによる県内の農業被害額は2013年度2527万円、12年度5328万円だった。今年はブナの実の不作が見込まれ、農地へのクマの出没が増えるとみられる。 最終回は今月26日に開催され、鳥獣被害の状況を地図化する手法を学ぶ。