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白神山地:ニホンジカ、目撃情報集約強化へ 世界遺産科学委、対策方針を了承[青森県]

 白神山地世界遺産地域科学委員会(委員長=中静透・東北大教授)の会合が9日、弘前市で開かれ、同山地周辺での目撃情報が相次ぐニホンジカ対策として、周辺地域でのすべての目撃情報を、白神山地世界遺産センター(西目屋村)に集約するなどの対策方針を了承した。自動撮影カメラの増設など、広域的な監視体制の整備を進める。また、原則禁止となっている秋田県側での核心地域への入山規制に関し、緩和のためのモデル的な入山試行案の検討を進めることも決めた。

 目撃情報を重点的に集めるのは、青森、秋田両県で遺産地域を含む自治体と、隣接自治体の計6市町村。生息状況把握のための自動撮影カメラの記録や、ガイドや地域住民らからの目撃情報をセンターに集める。

 会合では、委員の1人で森林総合研究所の堀野真一・鳥獣生態研究室長が「シカ対策は難しいが、敵を知ることが大事。情報収集はやればできる。どこまで来ているか、どのくらいのスピードか、の把握が重要」と指摘。環境省と林野庁が、計約70台の自動撮影カメラを増設することなども報告された。

 対策方針では、シカによる食害などの悪影響に関する啓発推進や、シカが定着した場合に備えた捕獲手法や体制を検討することも盛り込まれている。

 繁殖力の強いニホンジカの生息域拡大は、各地で問題となり、白神山地では昨年、西目屋村の遺産地域から約10キロ地点でシカ2頭が撮影され、秋田県藤里町でも遺産地域から約5キロ地点での目撃情報が寄せられている。

 また、秋田側の核心地域規制では、モデル利用の試行案を詰めるほか、専門家による現状把握▽案内・巡視できる人材育成に向けた検討▽緩衝地域の利用促進−−などを了承した。

 秋田側の規制緩和は3月の科学委で議題となった。ただ、9日の会合では、東北森林管理局が秋田側で2回開いた意見交換会で、緩和に否定的な意見も多かったとの報告があった。「人手が入っていないことに価値がある」「地元の人は『緩衝地域も入れない』との認識だ」などの声があったという。森林管理局の担当者は「多くの方に納得してもらうまでは、さらに前には進められないと思う」と述べた。

 
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