鹿 ミカンの葉が好き わなの餌に「有望」 園地誘導には注意[和歌山県]
鹿はミカンの葉を好むことが、鹿を捕獲するわなの研究をしてきた和歌山県果樹試験場の実験で分かった。わなに仕掛ける誘引用の餌として「有望」としているが、ミカン園に鹿を招くことにもなりかねず、同試験場では注意を促している。 同試験場は、鹿の効率的な捕獲手法を開発するため、餌の種類やわなの設置場所を研究してきた。2012年から13年にかけて畜産飼料のヘイキューブと米ぬか、ミカン枝葉の摂食状況を調べたところ、ヘイキューブと米ぬかの比較では、米ぬかの嗜好(しこう)性は低く食べたとしても少量だった。すぐにヘイキューブに移動してしまった。 一方、ミカンの葉はヘイキューブ同様、高い嗜好性を見せ、ミカンの葉がなくなると枝先や樹皮をはがして食べるなど執着していた。ミカンの葉の嗜好性が高かったことから、ミカン園に剪定(せんてい)した枝葉を放置しておくと鹿を呼び寄せる恐れもあり「チップにするなどして、園地から除く必要がある」と同試験場では呼び掛けている。 わなの設置場所としては、奥深い森林より、工場用の造成地や耕作放棄地の方が鹿の出没頻度が高かった。意外にも見通しの悪い森林より、開けた場所の方が適しているのではないかとしている。