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カラスめ、参ったか 北大が一掃作戦、天敵のタカ活躍[北海道]

 JR札幌駅の北、観光客も多く訪れる北海道大学札幌キャンパス(札幌市北区)で、カラスが人を襲う被害が増えている。悩んだ職員が目を付けたのは、天敵のタカ。今春から一掃作戦が始まっている。

 東京ドーム5~6個分、約30ヘクタールの森林がある札幌キャンパスは、学生だけでなく市民の憩いの場であり、クラーク博士の足跡などをたどる観光スポットでもある。そうした人の動きにもカラスは慣れていて、人が近づいても逃げもしない光景があちこちで見られる。5~7月の繁殖期には、巣がある木の近くを通る人たちを威嚇。頭上近くを飛び、「頭を蹴られた」「血が出た」などの被害報告も寄せられている。

 人の多い地域から少しでもカラスを遠ざけられないか――。そう考えた大学職員が、テレビで見たニュースを参考にタカで追い払う方法を提案。4月から「作戦」を始めた。

 猛禽(もうきん)類を扱うペットショップに依頼し、月に2回ほど通行者の多い場所をタカを連れて歩いてもらう。カラスが多ければ、タカを空に放って存在感を見せつける。6月下旬には、それまでのオオタカに代わり、1歳のメス(オスよりも体格がよく、大きい)のハリスホークが登場した。

 「ピーィ、ピーィ、ピーィ」と鳴きながら、周囲をにらみつけるハリスホークは、羽を広げると約1メートル。訓練をしてきたペットショップの松谷元気さん(35)が左手首に載せて歩くと、「縄張り荒らし」に気づいたカラスが数羽、ハリスホークの頭上に集い、「カー、カー」と鳴いて威嚇を始めた。

 「すごくタカを意識している。集まるカラスの数は回を重ねるごとに減っている気がする」と松谷さん。北大によると、地上からの目視によるカラスの巣の数は5月は43。営巣数は毎年変動があり、タカの効果かどうかは不明だが、昨年6月に調べた時よりも14減ったという。

 立教大の上田恵介教授(鳥類生態学)は「常にタカがいる環境なら、カラスがほかの地域に移るかも知れないが、時々姿を見せる程度なら、気の弱いのが一時的に逃げるだけでは」と話し、本物の恐怖感を植え付けることができるかが成功のカギとみる。

 佐賀県では一昨年、県庁近くの公園の数千羽を、ハリスホークを使って追い払う作戦を検討。しかし、周辺の住宅街に巣を移す可能性があるとして、結局、実施を見送ったという。

 果たして、北大の作戦の効果はいかに?(熊井洋美)

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