ゴルフ場でシカに出合った[大阪府]
この夏、大阪近郊のゴルフ場で立て続けにシカに遭遇した。一度は親子で、母親が子供を守るようにこちらをにらんでいる。フェアウエーを横切る間、しばしプレーを中断した。野生動物との予期せぬ出合いは楽しいが、そうも言ってられないのは、シカが急激に増加しているからだ。
▼環境省の推計では、北海道を除く全国のニホンジカの生息数は約260万頭で、2025年度には500万頭に増えるという。原因の第一は天敵のニホンオオカミが絶滅したことだ。さらに暖冬傾向が続いて、大雪で餌がなく冬を越せないケースが少なくなった。狩猟人口の減少で捕獲数が減っているのも要因である。
▼人里に出没するイノシシやサルも増えた。農作物の被害のほか、シカは植林した苗木や低木の樹皮を食べるので山林が荒れる。対策として、クローン技術でオオカミを再生する案もあるそうだ。生態系を崩しておいて、人間とは何と身勝手な動物だとシカは思っているだろう。