野生の猿一網打尽 関に大型オリ設置[岐阜県]
野生のニホンザルによる農作物被害の深刻化を受け、関市は猿を群れごと捕獲する大型のオリ1基を、被害が大きい山あいの同市西神野八神地区に設置した。住民による追い払いや1頭ずつ捕獲する方法では、被害が一向に減らないため「一網打尽」にする作戦だ。すでに効果を上げている自治体もあり、被害に悩まされてきた住民も期待を寄せている。(井沢夏穂)
「電気柵を設置しても、隙間から入って畑を荒らしてしまう。トマトにキュウリ、サツマイモ……。これまでどれだけ被害に遭ったことか」。オリの近くに住む坂口直美さん(46)は、ため息をつく。
県によると、猿による県内の農作物被害は昨年度、5753万円。2012年度の74%にとどまったが、年による変動が大きく、一向に被害が減らないのが現状だ。
関市でも、住民が電気柵を設置したり、猟友会が猟銃やわなで1頭ずつ捕獲したりなどの対策をしてきたが、被害
は増加傾向にあるという。
オリは7月24日に設置した。縦12メートル、横8メートル、高さ3メートルで、サツマイモやスイカなどの餌を置いて猿をおびきよせる。天井部は開いているが、壁の上部に返しがついており、いったん中に入ると、外に出られなくなる仕組みだ。
メーカーによると、長野や三重、静岡県などの自治体で導入されており、県内では今年4月、本巣市が同市根尾門脇地区に設置。同市根尾総合支所によると、5月に一度に21頭が捕獲されたのをはじめ、22日までに88頭を捕獲した。
関市のオリには今月12日、1頭がかかった。市は19日に地元住民向けの講習会を開催。これまで猟友会が行ってきた餌やりや見回りなどの管理を住民に手伝ってもらう。同市は年内にもう1基導入する予定で、設置場所を検討している。