クマ出没増加 栗原市、被害防止呼び掛け[宮城県]
広い中山間地を抱える栗原市で本年度、ツキノワグマの目撃情報が増えている。8月31日現在で既に185件に達し、2013年度の1年間(101件)の1.8倍に達している。クマは例年10月ごろまで出没する。市はごみを屋外に置かないなど、被害防止策を取るよう呼び掛けている。 合併によって栗原市が発足した05年度以降の目撃件数は表の通り。年度ごとの増減が激しく、13年度は最多だった12年度の半分以下だった。 本年度は4月に初めて目撃され、5、6月に増えた。7月の51件、8月の84件はそれぞれの月としては過去最多。8月21日には花山地区で男性会社員がクマに襲われ、けがをした。 県は「クマの増減の原因は分からないが、ドングリの作柄に関係があるらしい」と説明する。市によると、13年度はドングリなどの餌が豊富でベビーラッシュだったといい、担当者は本年度の増加の理由の一つとして「個体数が増え、縄張り争いに敗れた雄が里に下りてきているのではないか」と推測する。 目撃情報の増加には、高齢化や過疎化に伴って耕作放棄地や遊休農地が増え、クマが潜みやすくなったという背景もある。市はクマとの出合い頭の接触を避けるため、畑の周辺の草むらを刈り払うよう求めている。 県や市は目撃情報を基に、わなや電気柵を民家の周辺に設置できる。ただ、栗原市では中山間地や山間地を中心に「クマが出没しても当たり前」という意識が強く、通報しない住民もいるという。 市は(1)ごみを屋外に置かない(2)食料や飼料の保管を厳重にする(3)山野に入る場合に鈴などを携行する-といった被害防止策を取るよう呼び掛けている。 市農林振興課の担当者は「安全を確保するため、クマを目撃したら情報を提供してもらいたい。例年10月ごろまでは出没する。被害に遭わないよう、まずは自己防衛に努めてほしい」と話した。