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クマ大量出没中 ある日、人里で出合ったときの心得

 人里に出没するクマが、東北や関東などで増えている。冬眠前のエサとなるドングリ類が秋に大凶作になるとの予測もあり、クマの生態に詳しい専門家は注意を呼びかけている。

  • トピックス:クマ出没

 岩手県花巻市で12日、自宅の畑で作業などをしていた60~70代の男女3人がツキノワグマに襲われ、顔や背中をひっかかれて重軽傷を負った。県が、8年ぶりにクマの出没注意報を出し、注意を呼びかけていた。県自然保護課によると、今年度、19日までの出没は12件。すでに2013年度1年間の7件を上回った。

 環境省によると、今年4~5月の出没は全国で2080件(速報値)。前年同期から4割近く増え、過去5年で最高水準となっている。特に東北6県では8割増の941件。群馬県で71件と目立ち、過去5年間で毎年4~5月は4件以下だった東京も21件と急増している。

 大量出没のはっきりした要因は分かっていない。だが、岩手県や森林総合研究所によると、昨年、エサとなるブナの実が豊作でメスが子グマを多く出産した一方、マイマイガの大発生で春から夏にかけてのエサとなる木の葉が不足したことなどが推測できるという。

 クマが人里に出没する季節はこれからだ。冬眠に備えて栄養を蓄えるため、広範囲にエサを探し回る。ところが東北では今秋、この時期の主なエサとなるドングリ類が凶作の見込みだ。

 林野庁東北森林管理局によると、管内の東北5県のブナの結実予測は岩手、秋田、山形が「皆無」、青森、宮城は「凶作」。担当者は「06年度以来の水準」と話す。06年度は全国で過去最高の5185頭が捕獲され、クマに襲われた人は150人にのぼった。

 クマの生態に詳しい森林総合研究所野生動物研究領域長の大井徹さんは「特に東北と北陸では、ブナの実が凶作だとクマの出没が増える。今年は大量出没の条件がそろっている」と指摘。「クマのエサとなる残飯やゴミを外に放置せず、山に入る時には音の鳴る物を身につけたり、かしわ手を打ったりしてクマに人間の存在を気づかせるようにしてほしい」と注意を呼びかけている。(渡辺洋介)

■クマの注意点

【出合わぬために】

・クマ鈴など音の出るもので人間の存在を知らせる

・出没情報のあった場所に近づかない

・山とつながっている林や川沿いのやぶでは特に注意する

【クマに出合ったら】

・背を向けずにクマを見ながらゆっくり後退する

・大声を出したり走って逃げたりしない

・襲われたら両腕で顔や頭の大ケガを避ける

【クマをおびき寄せないために】

・隠れやすいやぶの除去や見通しの悪い場所の下刈りをする

・収穫後の農産物や家庭の生ゴミを野外に放置しない

・家の周囲でハチの巣を見つけたら早めに取り去る

 
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