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熊被害の多発 環境の変化が気になる[長野県]

熊に襲われる人が県内で相次いでいる。山の中だけでなく、畑や自宅の庭でけがをした人も出ている。先週は安曇野市の小学校の敷地でも目撃され、臨時休校になった。  今年は夏の天候不順でドングリなどの実が不作の地域も多く、餌を求めて熊の行動範囲が広がっているといわれる。  熊を取り巻く環境の変化が気になる。人に危害を加えては駆除される。そうした不幸な遭遇をどう減らすか、考えたい。  キノコ採りや紅葉狩り、ハイキングや登山で山に入る人が増える時季だ。鈴やラジオなど音が出るものを携行する。遭遇した場合は熊を刺激しないでゆっくりその場を離れるようにする。事前の準備や心構えが欠かせない。熊が身近な場所にいることを前提に行動する必要がある。  県鳥獣対策・ジビエ振興室によると、今年4月から一昨日までに21人が襲われ、けがをした。被害者の数は、統計を取り始めた2006年度の18人が最多だったが、本年度は既に超えている。  地域別で被害が目立つのは中信地方、北アルプスの麓に位置する地域だ。特に大町市が多い。9月20日に自宅の庭で作業をしていた男性が襲われてからこれまでに6人が被害に遭った。  市は4年ぶりに熊に対する警戒警報を出し、餌となる不要な農作物や残飯を放置しないようにすることなどを求めている。  県も行楽期に合わせ、例年10月中旬に出している熊の出没予測と注意を今年は9月下旬に前倒しした。担当者は「平年なら冬眠を前に目撃情報が減るころなのに、今年は相次いでいる。山に入る人だけでなく、麓で暮らす人も十分注意してほしい」と訴える。  近年は山の麓の集落ばかりでなく、市街地まで熊が出てくる。「本来なら人間を怖がるはずの熊の行動が変化している可能性がある」。松本市のNPO法人、信州ツキノワグマ研究会理事の林秀剛さんは指摘する。  背景として注目しているのは、過疎化の進行で耕作放棄地や空き家が増えていることだ。熊が移動しやすい環境が徐々に広がり、里に慣れる熊が増えていることも考えられる。  熊と人間が共生する道を探るため、NPOなどが行動実態調査を行っている。行政もこれまで以上に力を入れるべきだ。民間と協力して人里への出没事例や人の被害事例を丁寧に分析し、対策に生かしてもらいたい。

 
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