大阪府猟友会女子部 “狩りガール”増やしたい [大阪府]
無駄なく食べてこそ供養
狩猟の魅力をアピールする曽我さん
男のイメージが強い狩猟の世界をしなやかに駆け回っている。「女性にお勧め。運動になるし、おいしいお肉も食べられます」と笑顔を見せる。ことし4月に発足したたんぽぽの会の部長に就任し、「女性会員に自分の持っている技術をどんどん伝えたい」と意気込んでいる。
たんぽぽの会は女性会員26人がメンバー。20~80代の幅広い世代の“狩りガール”がそろっている。メンバーは狩猟や射撃の技術を磨くことはもちろん、啓発イベントではイノシシの焼き肉を振る舞ったりと、こまやかな気配りと料理の腕を存分に発揮している。
その先頭に立つ曽我さんは「イベント会場で女性の姿をアピールし、新しい会員の掘り起こしを図りたい」と意欲を語る。
■技術を伝えて
また、技術の継承も課題の一つ。大阪府猟友会は、男女の会員を対象に技術指導する“学校”を立ち上げる計画で、講師の一人を曽我さんが務める予定だ。田中茂雄専務理事兼事務局長(72)は「狩猟や射撃の技術を伝えてほしい」と期待を寄せる。
狩猟免許を取ったのは2000年。猟友会の事前の講習が役立ち、「1回で合格した」。これまでに仕留めた獲物は数十頭になるという。初めての獲物はシカだった。猟犬に追われたシカが一瞬、動きを止めたとき、20メートルほどの距離から引き金を引いた。「出てきたら絶対撃つと気合を入れていた」と振り返る。
■人間の原点
今はイノシシの解体もできるようになり、家族で囲む食卓にはさまざまな料理が並んでいる。
冬はぼたん鍋、夏はイノシシの焼き肉、ひき肉にしてハンバーグも。シカ肉はカレーやシチューに使い、「ロールキャベツにも挑戦したい」と目を輝かせる。猟友会理事の夫も「カレーがおいしい」と喜んで食べているという。
曽我さんは「お金を出せばスーパーで何でも手に入りますが、自分で仕留めた命に対して、無駄なく食べることが供養になる。私たちは別の命をいただいて生きている。人間の原点だと思います」。
堺市北区在住。56歳。