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熊警戒「人里に入れない工夫を」 県のクマ対策員・泉山教授[長野県]

中信地方を中心に熊の出没が相次ぐ中、県のクマ対策員を務める信州大山岳科学研究所(長野県上伊那郡南箕輪村)の泉山茂之教授(55)=動物生態学=が27日、信濃毎日新聞のインタビューに応じた。大北地方から下伊那地方の出没現場などを調べた結果、熊の餌となるドングリが他地域と比べ北アルプス東麓で少なく、過去に発信器を付けて放獣した熊の動きなどから、例年なら奥山にいる6、7歳の体重100キロほどの大きな熊が里まで下りてきているのが今年の傾向と指摘した。  泉山教授によると、熊は冬眠に備えて脂肪を蓄えようと9月上旬からドングリなどを食べ始める。ところが、今年の北ア山麓には十分な量がなく、奥山にすむ大きな熊が餌を求めて里近くに下りてきている。その結果、里近くにすむ親子連れや若い熊が押し出され、まず里に出没するようになった。9月下旬には、大きな熊も里に出没し、深刻な被害を出すようになったとする。  奥山の熊が里に下りる現象は、ドングリなどの堅果(けんか)類が全県で凶作だった2006年の大量出没の際も見られた。多くの場合、里にあるクルミなどを求め、耕作放棄地や川沿いの茂みを伝って移動し、街中に現れたとみられる。泉山教授は「もともと里近くにいた熊は人間の怖さを知っているが、人間と接触がない奥山の熊は知らない」と話す。  泉山教授は、里に餌付いてしまった熊は駆除することが必要とする一方、「1頭駆除しても次の1頭が現れるだけ」と指摘。電気柵を張ったり川沿いの茂みや耕作放棄地を刈り払ったりして「人間の生活空間に入ってこないようにする」ことが重要とする。  「過去に電気柵を張った地域では熊は出ていない。また、昨年茂みを刈り払った(松本市南西部を流れる)鎖川沿いでは、毎年発生していた被害が止まった」と泉山教授。「同じような大量出没は今後も起きる。熊は街中にも出るから、山際だけでなく街中の住民の問題でもある。住民と行政が協力し、具体的な対策を進めてほしい」としている。

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