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季節外れのクマに注意 檜原村、あきる野市、奥多摩町 [東京]

一月に入り、檜原村とあきる野市、奥多摩町にツキノワグマの目撃情報が寄せられている。本来ならこの時期、クマは冬眠の真っ最中のはず。昨年秋、山ではエサとなるドングリが不作だったため、食べ物を十分に食べられず、おなかをすかせて歩き回っているようだ。各市町村は住民や登山者に注意を呼び掛けている。 (村松権主麿)

 「一月にクマが目撃されるなんて、これまで聞いたことがない」と困惑するのは、檜原村産業観光係の担当者。村には十五、十九の両日、クマを見たという情報が寄せられた。

 十五日は午前八時ごろ、都天然記念物の「神戸(かのと)岩」に近い林で建設作業員が目撃。十九日は午後五時ごろ、小沢地区の畑の山側に二頭いるのを住民が目にした。村の担当者によると、冬季のカモシカは毛並みが黒くなることから、夕方は見間違えの可能性も考えられるが、万が一に備えて防災無線で村民に注意を呼びかけた。

 あきる野市では十四日午後五時すぎ、山あいの乙津(おつ)地区で目撃された。市農林課の担当者は「カモシカかもしれない」と指摘しつつ、やはり用心のため周辺の住宅に回覧板で注意喚起。奥多摩町にある都奥多摩ビジターセンターには二十五日午前、町内の尾根でクマを見た登山者から連絡が入った。

 多摩地区の山間部では、昨年からクマの目撃が急増している。同センターには、記録が残る二〇〇九年以降で最多の四十七件が寄せられ、一三年の二十三件から倍増。町への情報も昨年は二十五件と倍以上に増え、九月末には登山者が襲われてけがをした。

 檜原村への情報は昨年が十四件で、前年から五件の増加。あきる野市では目撃情報は七件で前年より五件減ったが、十月下旬に人家近くのイノシシ用のわなに子グマ二頭がかかった。近くでは母グマとみられる声も聞かれた。都内ではクマは絶滅危惧種に分類され、狩猟が禁じられていることなどから、二頭は発信機を付けられて山に放された。

 クマの目撃が増えた理由を、多くの関係者は「一三年はドングリが豊作で多く繁殖したが、昨年は凶作だったためエサが足りず、人里近くまで降りてきた」と推測する。

 上野動物園はクマの冬眠実験をしており、井内岳志(たけし)学芸員は「秋にたくさん食べて体重が十分に増え、静かな環境でないと冬眠をしない。冬眠中も起きている時間はあり、冬眠しないクマも確認されている」と説明する。

 各市町村は住民に出没情報を知らせるほか、ごみは収集の朝に出し、庭のカキなどの果物は早めに収穫することなどを呼び掛けている。山に入る場合、鈴やラジオの音で気配をクマに伝えるよう求めたり、登山者用に「クマ出没」の看板を駅にも立てている。

 檜原村は今月、クマよけの鈴を三百個用意し、役場で村民への配布を開始。希望者が多く、既に残りは約五十個。家族三人分を受け取った主婦(67)は「いつ出くわすか分からないから、もらいに来た。エサが足りないみたいでクマも大変だけど、これだけ出ると怖い」と話した。

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