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イノシシ被害ヤギで防ぐ[熊本県]

 イノシシによる農作物被害を減らそうと、天草地域の活性化に取り組む市民団体「天草デザインプロジェクト」(金子順子会長)が、耕作放棄地でヤギを飼育して草を食べさせ、イノシシの隠れ場所をなくす試みを始めた。リーダーの金子寛昭さん(54)は「除草の手間が省け、ヤギを見れば心も安らぐ。様々な効果が期待できる」と話している。(池田亮)

 県むらづくり課によると、2012年度のイノシシによる県内の農産物被害は約3億2580万円で、有害鳥獣による農作物被害の約6割を占めている。元々は警戒心の強い動物だが、餌の豊富な人里に来るようになり、生息範囲を広げている。被害を減らすには▽果実などを確実に収穫する▽生ごみを放置しない▽農地周辺の草を刈り、隠れ場所をなくす――ことが有効とされている。

 ヤギに耕作放棄地などの雑草を食べさせ、有害鳥獣対策に役立てる取り組みは、全国各地で行われている。同課は「除草目的でヤギを飼育する例はあるが、県内でイノシシの被害対策に飼うのは珍しいのではないか」と話している。

 天草市では、本渡地区の市街地周辺でも、イノシシが水稲などを食い荒らしたり、通学路に出没したりするケースが相次いでいる。そこで同団体は、ヤギの活用を思い立ち、上天草市の畜産農家から雑種3匹を譲り受け、今月から飼育を始めた。

 当面、本渡地区2か所で試験的に飼い、食べる草の量や除草効果などを検証する。9月頃には、県の補助事業を活用して、4匹を追加購入するという。

 今後は、高齢化などで除草が進まない地域にヤギを貸し出す派遣事業や、乳を活用した加工品の開発などにも取り組みたい考えだ。

 金子さんは「ヤギがしっかり働いてくれれば、除草剤を使う必要もなく、環境にも優しい。事業を軌道に乗せ、雇用創出にもつなげたい」と話していた。

2014年06月28日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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