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シカの食害対策万全 尾瀬・大江湿原囲む防護柵設置[福島県]

 尾瀬で深刻化するニホンジカの食害を防ごうと、国、県、地元町村が連携しての本格的な対策が1日から始まった。林野庁は同日までに大江湿原を囲む防護柵の設置を完了。県は檜枝岐村、南会津町などと一緒に湿原でシカの追い払いを始めた。大勢の入山者でにぎわうニッコウキスゲの開花時期を間近にし、万全の態勢を取る。

 防護柵は沼山峠側の木道から尾瀬沼の近くまで、全長約3・5キロにわたって設けた。高さは約2メートルあり、支柱と支柱の間に金属性の丈夫な網が付いているので、シカは容易に侵入できない。防護柵が本道と交差する地点は、金属製の網目の「道」にしてシカが湿原内に入れないようにした。

 6月上旬から専門家らの意見を聞き、設置を進めた。ハイカーが行き交う木道から離れた山林内を通し、色を茶色にするなど、景観に配慮した。シカが侵入しようとして柵に体当たりし、損傷することも考えられるため、定期的に巡視を続ける。尾瀬沼周辺の宿泊施設の関係者は「柵が設置されて以降、シカは湿原に入ってきていないようだ」と効果を期待する。

 防護柵と並行して取り組む追い払いは県、地元町村、環境省、林野庁、尾瀬保護財団の職員が参加する。担当者が2人以上のチームをつくり、毎日午後6時から翌朝5時まで大江湿原のニッコウキスゲの群生地を中心に歩いて回る。シカを発見した場合は電灯などを使って追い払う。ニッコウキスゲの花のシーズンが終わった後も、茎が食べられないよう8月中旬ごろまで活動を続ける予定だ。 ■本県側の主な入山口  本県側の尾瀬への主な入山口は【地図】の通りで、檜枝岐村の沼山口と御池口の2カ所。沼山口は村内御池からシャトルバスに乗って向かう。沼山口から大江湿原まで約50分、尾瀬沼まで約1時間10分、尾瀬ケ原まで約4時間で到着する。沼山口から燧ケ岳山頂までは尾瀬沼北東の長英新道を通って約4時間30分を要する。御池口からは燧裏林道を通って約4時間で尾瀬ケ原の見晴地区に着く。御池登山口から燧ケ岳山頂は約4時間かかる。問い合わせは尾瀬檜枝岐温泉観光協会 電話0241(75)2432へ。

写真は大江湿原へのシカの侵入を防ぐため、湿原の周囲に設置された柵

 
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