シカの食害対策万全 大江湿原に防護柵[福島県]
尾瀬で深刻化するニホンジカの食害を防ごうと、国、県、地元町村が連携しての本格的な対策が1日から始まった。
林野庁は同日までに大江湿原を囲む防護柵の設置を完了。
県は檜枝岐村、南会津町などと一緒に湿原でシカの追い払いを始めた。
大勢の入山者でにぎわうニッコウキスゲの開花時期を間近にし、万全の態勢を取る。
防護柵は沼山峠側の木道から尾瀬沼の近くまで、全長約3・5キロにわたって設けた。
高さは約2メートルあり、支柱と支柱の間に金属性の丈夫な網が付いているので、シカは容易に侵入できない。
防護柵が本道と交差する地点は、金属製の網目の「道」にしてシカが湿原内に入れないようにした。
6月上旬から専門家らの意見を聞き、設置を進めた。
ハイカーが行き交う木道から離れた山林内を通し、色を茶色にするなど、景観に配慮した。
シカが侵入しようとして柵に体当たりし、損傷することも考えられるため、定期的に巡視を続ける。
尾瀬沼周辺の宿泊施設の関係者は「柵が設置されて以降、シカは湿原に入ってきていないようだ」と効果を期待する。
防護柵と並行して取り組む追い払いは県、地元町村、環境省、林野庁、尾瀬保護財団の職員が参加する。
担当者が2人以上のチームをつくり、毎日午後6時から翌朝5時まで大江湿原のニッコウキスゲの群生地を中心に歩いて回る。
シカを発見した場合は電灯などを使って追い払う。
ニッコウキスゲの花のシーズンが終わった後も、茎が食べられないよう8月中旬ごろまで活動を続ける予定。
2014年07月02日 16時40分 配信