イノシシ:目撃や捕獲相次ぐ 県内では生息していないはずだが… 県南から拡大し盛岡にも[岩手県]
■県自然保護課、対策検討へ情報収集
県内には生息していないとされていたイノシシの目撃や捕獲が相次いでいる。地域は県南から徐々に拡大し、盛岡市に達した。農作物被害が目立ち始め、県自然保護課は対策検討の基礎資料とするため、目撃情報の収集を始めた。
同課によると、2007年に奥州市衣川区で目撃されて以降、県南で出没例が報告された。11、12年度は捕獲1、2頭、目撃は5、6件だったが、13年度は県央部に広がり、捕獲は22頭に急増した。目撃は、盛岡市猪去で同年12月30日、岩手大学がクマ調査用に設置していた定点カメラに写るなど6件あった。
岩大農学部の青井俊樹教授(野生動物管理学)によると、江戸時代は県内でも多数生息していたが、大量に狩猟されたため約100年前から絶滅状態という。07年以降、▽奥州▽一関▽北上▽平泉▽釜石▽大槌▽大船渡▽花巻▽盛岡−−の計9市町で出没報告がある。宮城県方面から分布域が広がり、ほとんど狩猟されないため数が増えているとみられる。
イノシシは農作物を食べるだけでなく、泥を体にこすりつける習性があるため水田を荒す。繁殖力が高く、早く対策を講じないと分布域が急拡大する恐れがある。青井教授は「西日本では農作物被害に遭って農業をやめ、農地跡地がイノシシなどのすみかになって増えるという、負の循環が起きている」と指摘する。
目撃した日時と場所は県自然保護課(電話019・629・5371)へ