シカ生肉食べ?E型肝炎 必ず加熱呼びかけ[大分県]
生のシカ肉を食べた県内在住者がE型肝炎を発症していたことが、県の調べで分かった。県内では農林業に悪影響を及ぼすシカなどの野生鳥獣を捕獲し、食用肉(ジビエ)として普及させる取り組みが進んでおり、県は「必ず加熱して食べてほしい」と注意を呼びかけている。
E型肝炎はウイルスに汚染された水や食べ物の摂取などで感染する。ウイルスはイノシシ、豚、シカなどから検出されている。県内で感染が確認されたのは2004年以降では3例目。
県や大分市保健所によると、今回の患者は6月、全身に倦怠けんたい感があったことから病院で診察を受け、E型肝炎の発症が判明した。知人の猟師からもらったシカ肉を刺し身にして繰り返し食べており、シカ肉が原因とみられている。
内閣府食品安全委員会によると、県内ではシカ肉を食べてサルモネラ菌に9人、腸管出血性大腸菌に3人が感染した事例もある。
県食品安全・衛生課は「生で食べると、E型肝炎だけでなく、食中毒などになる可能性もある。生肉に触れた包丁やまな板も消毒をしてほしい」としている。
【E型肝炎とは】
潜伏期間は6週間程度。発症すると、食欲不振や発熱、倦怠感、黄だんなどの症状が出る。重症化すると死に至る場合もある。国立感染症研究所によると、2005年1月から13年11月に、届け出のあった患者は全国で626人。うち感染経路がシカ肉と推定されるのは33人、イノシシ肉は60人だった。