クマ出没注意! 府北部情報相次ぐ[京都府]
◆京都、兵庫の群れが南下か 秋、人里接近の恐れ
府北部で春先からツキノワグマの出没が相次ぎ、府が対策に乗り出した。2006年度以降はゼロだった出没情報が、今年は既に4件。兵庫県や京都府から越境してきている可能性が高いという。秋口には冬眠に向けて餌を探して人里に近づく恐れがあり、付近の住民に警戒を呼びかける方針だ。(森重孝)
府動物愛護畜産課によると、大阪は近畿2府4県のうち、唯一、ツキノワグマが生息していない地域。府内での出没情報は、05年に能勢町で足跡が見つかったのを最後に、寄せられていなかった。
ところが、今年は5月に茨木市で足跡が見つかり、6月には豊能町で雄1頭がイノシシ用のおりで捕獲された。7~8月にも高槻市で2件の情報が寄せられた。
要因とされるのが、兵庫県と京都府にまたがり生息するクマの群れの南下だ。兵庫では00年頃には年間100~200件程度だった出没情報が、近年は300件を超える。京都でも同様の傾向がみられ、頭数が増え、行動範囲が南に広がっている可能性があるという。
今年は7月末現在の出没件数が、兵庫で251件、京都で447件と過去5年で最多。9月以降、冬眠に備えるために多量の餌を必要とするクマが、人里に近づく恐れが高いという。
府は今月4日、出没の予防と被害防止のための指針を作成。市町村を通じ、生ゴミの野外放置を減らしたり、道路沿いのやぶを刈り込んだりする対策を呼びかけるほか、ホームページやチラシで注意喚起することを検討している。
府動物愛護畜産課の担当者は「これだけの頻度でのクマの出没は従来にないケースなので、注意深く状況を見守りたい」とし、京都大の高柳敦講師(森林生物学)は「秋に山林でドングリが不作となるなど餌が不足すると、大量出没につながる恐れもある。人がけがをするような事態を防ぐために、早めに注意を呼びかけることが重要だ」と話している。