クマ、イノシシ衝突事故 栃木県内で多発[栃木県]
県内でツキノワグマの目撃情報が相次ぐ中、10月以降、クマやイノシシと乗用車などが衝突する事故が多発している。10月は県北地域を中心にクマとの事故が4件、11月(11日現在)は県南地域も含めイノシシとの事故が3件発生しており、「異例の多さ」(県警交通企画課)という。今秋はドングリの凶作により餌を求めて里山に下りるクマが増えていることが要因とみられ、専門家は「クマが冬眠するまでは里山に下りる可能性がある」と指摘。多くの事故は夜間に発生しており、県警は引き続き野生動物との事故に警戒するよう呼び掛けている。
県警によると、クマと乗用車による事故は、10月8日に宇都宮市石那田町の日光宇都宮道路、17日に日光市上三依の国道121号と那須塩原市中塩原の国道400号、23日に同市鳥野目の東北自動車道で発生。イノシシは11月1日に栃木市大平町の市道で乗用車と衝突したほか、3日に那須塩原市関谷の市道でバイクと衝突。7日にはさくら市卯の里の国道4号で死骸が見つかった。バイクを運転していた高校生が右手を打撲する軽傷を負ったほかは、けが人はいなかった。
イノシシの死骸が見つかったのは午後5時半で、それ以外の事故はすべて日没後から未明にかけて発生しており、夜行性のクマが活動する時間帯に当たるという。県警交通企画課は「暗闇の中で野生動物に気付くのが遅れ、事故につながったのではないか」と分析する。
県警によると、事故の衝撃で前部バンパーが損傷するなど自走できない車両もあったという。日本損害保険協会によると、野生動物との事故は動物側に賠償責任を問えないため、車両保険で対応するケースが多いという。
県自然環境課によると、本年度のクマの目撃情報は10月末現在で207件で、前年同期の3倍近くに上る。特に前年6件だった9月がことしは64件、4件だった10月が62件と、秋口に目撃が急増した。地域は那須塩原市や日光市など県北西部に集中している。