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避難区域で「野生動物と人」共存探る[福島県]

東京電力福島第1原発事故の避難区域で、生息域が拡大しているイノシシなどの野生動物と人が共存できる関係を探ろうと、福島県鮫川村のNPO法人職員伊藤千陽さん(30)はおととし、神奈川県箱根町から移住してきた。昨年10月には狩猟免許を取得し、先輩のハンターから技術を学ぶ日々を送っている。

◎住民帰還へ「駆除も必要」

 伊藤さんは三重県東員町出身。少女時代は野生動物を救う獣医師に憧れていた。富山大大学院で水中の微生物などを研究、修了後は環境省の箱根自然環境事務所で自然保護官を補佐する非常勤の「アクティブレンジャー」となった。

 転機となったのは原発事故後の野生動物をめぐる報道。避難して住民がいなくなった町をウシやイノシシが闊歩(かっぽ)し、餌を求め留守中の住宅に入り込み荒らし回っていた。悪者扱いされる動物に心を痛めた伊藤さんは「人と動物が対立しないよう何かできないか」と福島への移住を決心。鮫川村で自然学校を運営するNPO法人に就職し、住み込みで働くようになった。

 その傍ら、狩猟免許の試験会場で出会った先輩猟師らから、わな猟のこつや野生動物の生態を学んでいる。近い将来、避難区域などでイノシシの駆除に乗り出す予定だ。

 福島県によると、イノシシは放射性物質の基準値を上回っているため県内全域で出荷制限されている。その一方で狩猟者登録数は減少しており、害獣駆除のめどが立たず、避難住民の帰還の足かせとなりかねない。

 伊藤さんは根っからの動物好き。「イノシシを駆除する瞬間はどんな気持ちになるか想像できないが、生態系を維持しながら人が共存するためには大切なことでは」と心に言い聞かせている。

 
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