クマ出没:被害者、過去3番目…エサの実不作、ハンター減
本州に生息するツキノワグマや北海道のヒグマによってけがなどをした被害者が、今年度(11月まで)は過去35年間で3番目に多い121人になっていることが、13日、環境省の調査で明らかになった。環境省は、クマが人里に出没しないような対策強化を都道府県に促すため、頭数調査や捕獲に関する指針を来年度にも改定する方針を決めた。
◇環境省調査、121人
同日開かれた環境省の「クマ類保護管理検討会」で示された。資料によると、昨年4月からクマが冬眠に入る直前の11月までの8カ月間の被害者数は112件121人。2006年度と10年度のいずれも150人に次ぐ被害者数だった。また、人里に出没したことなどを理由に捕獲された頭数は3947頭で、最近10年では3番目に多かった。
今年度は全国各地でクマ出没が相次いだ。長野県内では、昨年4月〜今年1月12日に過去最多となる32人の被害者が出た。滋賀県内では、昨年4月から10月27日まで、過去最多に迫る計95件の目撃情報が寄せられた。
環境省野生生物課は「今年度はクマの餌となるブナ類の実が全国的に不作だった。さらに近年は里山地域の住民が少なくなったりハンターが減少したりと、クマが人里に出てきやすい環境になっている」と指摘する。【渡辺諒】