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国名勝の「千枚田」も…イノシシ被害止まらず [石川県]

 石川県内でイノシシが農作物を食い荒らすなどの被害が止まらない。

 近年になってイノシシ被害が出始めた奥能登地域では、年を追うごとに状況が悪化し、昨年の被害額は前年の4倍以上に達した。農家から悲鳴が上がる中、被害拡大を防ぐため、行政は対策に本腰を入れている。

 県と各市町によると、奥能登で初めてイノシシ被害が出た2010年の被害額は輪島、珠洲、穴水、能登の2市2町で計約20万円だったが、昨年は前年比約2090万円増の計約2670万円に上った。

 県全体でも同約4160万円増の約9140万円の被害が出たが、県の担当者は「近年になって被害が出始めた県北部では、まだ対策が行き届いていないせいか、被害が大幅に増加している」と分析する。

 昨年は、8月下旬から9月上旬にかけて、輪島市の国名勝「白米の千枚田」で収穫前の田が荒らされるなど、被害は景勝地にも及んだ。稲にとどまらず、畑や栗園なども標的となっており、能登町で栗園を営む40歳代男性によると、昨年9月上旬、園内の地面が無残に荒らされた。「栗園全体が耕運機をかけられたような跡だった」と嘆く。

 県内でのイノシシ被害は1998年に加賀市で初めて確認された。イノシシは1回の出産で4~7頭の子を産むなど繁殖力が高い反面、雪に弱いとされている。しかし、近年は降雪量が少なくなったためか、生息域が年々北上し、10年には奥能登まで到達。イノシシの正確な生息数は把握できていないが、県は「増えているのは間違いない」とする。

 被害の拡大を受け、行政も対応に本腰を入れている。田や畑の周囲に電気柵を設置したり、イノシシの隠れ家となりやすい耕作放棄地の草刈りなどを行ったりしているが、「対策をしていないところが、まだ被害に遭い続けている」という。

 各自治体は集落ごとに研修会を開き、住民にイノシシの習性を理解してもらうよう、対策の周知に努めている。県の担当者は「野菜を道端に置いたままにしないなど、どうすればイノシシがやってこない環境になるか、それぞれ考えていくことが大切」と話している。

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