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ヒグマ事故 冬場でも油断は禁物だ [北海道]

釧路管内標茶町と厚岸町で相次ぎ、林業作業員らがヒグマに襲われる死傷事故が起きた。真冬に死者が出るのは初めてだ。

 いずれの事故でも、ヒグマはまだ捕獲されていない。

 人をひとたび襲ったクマは人への恐れを失い、次の事故を起こしやすくなるとされている。地元の猟友会などには安全に留意しながらパトロールを強化し、捕殺につなげてほしい。

 現場は人里に近く、今はワカサギ釣りや狩猟のシーズンでもある。周辺住民は警戒を怠らず、野外での行動はできるだけ控えたい。

 ヒグマは通常、この時期は冬眠しており、人が襲われる可能性はごく低い。

 とはいえ、道によると、1962年以降、冬眠期間の1~3月中旬に3人が襲われて負傷している。いずれも林業作業中だ。

 冬場でも山や森に入る時には無警戒ではいられない。

 なぜ真冬にクマが出没し、人を襲ったのか、道は専門家とともに原因を解明し、今後の予防対策につなげることが欠かせない。

 標茶では先月26日、6人が山林で枝打ち作業をしていたところ、突然クマが現れ、男性1人が頭に傷を負って亡くなった。

 近くに冬眠の巣穴があり、子グマ2頭の死骸が凍った状態で見つかったことから、冬眠しながら出産・子育てをしていた雌グマが、林業作業の音や振動で覚醒して襲ったとの見方が浮上している。

 2日には南東へ15キロの厚岸町内の国有林で樹木調査の男性が顔などを引っかかれて重傷を負った。

 ヒグマと遭遇した時、背中を見せて走って逃げることは、かえって襲われる危険を増すとされる。

 専門家によれば、刺激せず、にらみ合って相手が立ち去るのを待つ方が有効だという。

 冬場といっても山や森に入る前にヒグマの習性についての知識は持つべきだ。撃退スプレーや、最悪の場合に備えてナタを持参することが望ましい。

 狩猟者はエゾシカの死骸を放置しないよう心がけるべきだ。クマを誘引し、後から入る人を巻き込むことになりかねない。

 ヒグマは警戒心が強く慎重な動物だが、道内の個体数は増加傾向にある。一方で季節を問わず趣味やレジャーで山野に入る人が増え、遭遇の可能性は増しつつある。

 ヒグマが人里に接近しなくても生息し、穴ごもりもできるよう、山野や森林の環境保全にも目を向けたい。

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