「ジビエ」活用へ研究会…ブランド化目指す
谷本知事は6日の県議会一般質問で、イノシシやシカといった野生鳥獣の肉を食材として活用するための研究会を設けることを明らかにした。吉田修議員(県政石川)の質問に答えた。農作物を食べ荒らすなどして農家を悩ませている鳥獣を、逆においしく食べ、県産食材としてPRする狙い。谷本知事は「北陸新幹線金沢開業後の新たな里山ブランド『いしかわジビエ』として育てていきたい」と強調した。
「ジビエ」とは、狩猟によって捕獲された野生の鳥獣を意味するフランス語。欧州では、栄養価が高い高級食材として親しまれている。県によると、県内ではほとんどの地域で獣肉を使った食文化はなじみが薄く、捕獲したイノシシなどの肉の大部分は猟師らが食べるか、廃棄処分されているという。
研究会には料理専門家や猟友会、農業団体、行政機関などが参加し、7月にも初会合を開く。鳥獣はイノシシやシカ、カモなどが対象となる見込み。ジビエ料理のレシピや加工品の開発を進めるほか、PRイベントを開催したりロゴマークを作成したりし、獣肉の需要喚起を進める。猟友会などを対象に研修会も開き、肉質を保ったり、細菌が入るのを防いだりする捕獲や処理の仕方も学んでもらい、処理施設の整備も支援する。県は開会中の県議会に提出した補正予算案に関連予算1000万円を盛り込んだ。
県内では、鳥獣害被害がやまず、県によると、イノシシによる県内の農林業被害額は2009年の3680万円から13年には4980万円に増加。13年度に県内で捕獲されたイノシシ(有害捕獲と狩猟の合計)は2684頭と前年度より927頭増え、01年度(226頭)の約12倍に上った。
鳥獣害被害に対し、県は、市町や農協などで構成する対策協議会が防護柵や捕獲おりを設置するのを支援したり、関連機関の連絡会議を開いたりしてきた。今年度からは、福井県で急増しているニホンジカが県内に侵入してくるのを防ぐため、福井との県境のほぼ半分にあたる加賀市内の県境約24キロに金網の柵(高さ約2メートル)の設置を始める。補正予算案に関連予算5800万円を盛り込んでおり、今年度は7・2キロの区間で予定している。谷本知事は報道陣の取材に「有害鳥獣による被害の対策を進めるだけでなく、『食材になる』という発想も必要。有害鳥獣の捕獲だけでは疲弊してしまう」と話した。
2014年06月07日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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