[鳥獣害と闘う] 養鹿場 学びの場に 被害、捕獲、活用を紹介 北海道の3事業者が施設整備[北海道]
捕獲されたエゾシカを食肉向けに飼養する北海道の事業者3社が、養鹿(ようろく)場を“見て学べる”観光牧場として整備し、道内外から見学者が相次いでいる。釧路市阿寒町の北泉開発(株)は昨年、数十台の駐車スペースと、エゾシカの生態や事業内容を伝える「学習館」を設置。道内の農林業被害が63億円(2012年度)に上る実態を紹介し、捕獲や有効活用の意義を伝えている。 同社は、捕獲されたエゾシカを多い年で600頭受け入れ、6ヘクタールの敷地で肥育。と畜や食肉加工も所有する施設で行い、肉の有効活用を進めている。 同社が敷地内に設置した学習館は約30平方メートルの規模で、12年度のエゾシカ推定生息数が59万頭、農林業被害は60億円超に上ることをグラフなどで紹介。模型や写真を使って、捕獲から食肉利用までの流れも説明している。 学習館を整備して以来、養鹿場には鳥獣害対策に取り組む団体や、地元の小学生、消費者協会などの訪問が相次ぐようになった。多い日には40人が訪れ、職員が手分けして対応する。 同社にとって直接の利益につながらないが、「エゾシカ肉を衛生的に管理することで、資源として活用できることを知ってほしい」と期待する。視察は無料で事前の予約が必要。一度に約40人までとし、通年受け入れている。フェンス越しにエゾシカを観察したり、と畜場を見学したりできる。 こうした取り組みは同社の他、知床エゾシカファーム(斜里町)、サロベツベニソン(豊富町)も実施。売店や休憩小屋などを設置し、今春から本格的な運用を始めた。3社は鹿肉処理業者でつくる「エゾシカ食肉事業協同組合」のメンバー。整備費は、総務省の地域経済循環創造事業交付金約4000万円の一部を活用した。
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