京鹿の子絞り、鹿革で風合いよく 小物加工、魅力発信へ[京都府]
京鹿(か)の子(こ)絞振興協同組合が、技法の名前にちなんで、鹿革を絞り染めした製品を開発している。絹布を染めるのが通常の方法だが、革だと独特の立体感や文様ができるといい、組合員の企業が長財布などの小物に加工して販売を始めた
同組合が、珍しい素材の染色を通じて製品の幅を広げるため、2012年秋から試行を重ねてきた。使用するのは、野球グローブにも使われる鹿革で、牛革より繊維が細かいため丈夫で、染色用に薄く加工しても破れにくいという。熱に弱いため、絹よりも低温で染める手法を開発した。
絹と違って防染用の糸を巻いた時にしわが残り、柄や質感に独特の表情が生まれるという。鹿革への染色方法を確立した後、組合員の10社がそれぞれスマートフォン用のケースにして販売している。
染色加工のいづつ(下京区)は今年から長財布、小銭入れ、キーホルダーを東京の革小物店に出荷し、百貨店の催事でも販売している。染めを二重に施した色鮮やかな手帳カバーやかばんなども試作済みで、来春までに10種類に増やす。山田智久専務(36)は「絞り染めを知らない若い人もデザインを気に入って購入してくれている。伝統技法の魅力をアピールし、さらに用途を広げたい」と将来を描く。