イノシシ解体会社を設立 先端大の学生、猟師と飲食店仲介 [石川県]
石川県内に生息範囲が広がり、農作物を荒らすイノシシを地域資源として活用しようと 、北陸先端科技大学院大に通う20代の学生5人が会社を設立した。猟師が捕獲したイノ シシを解体し、肉や皮、毛、骨を飲食店や工房に仲介、商品化のアイデアも出し、手数料 を利益にする。北海道や京都の飲食店への販路開拓を進めており、新たな北陸のブランド を目指す。
知識科学研究科の吉村祐紀さん(24)、藤丸紘樹さん(25)ら5人が5月ごろから 準備を進め、7月下旬に登記を終えた。現在、解体に必要となる狩猟免許の取得に向けて 準備を進めている。
起業のきっかけは、大学が白山麓で展開するイノシシ活用のプロジェクトへの参加で、 「捕まったイノシシを処分するだけではもったいない。食肉だけではなく、丸ごと商品に すれば売れるのではないか」という意見が出て、起業を志していた学生有志がビジネスモ デルを練り上げた。
肉はジビエ(狩猟による野生の鳥獣肉)として飲食店に販売する。皮はなめしてもらっ てバッグや財布、毛は化粧用の筆に加工、骨は砕いて九谷焼の素地(きじ)に混ぜること を視野に交渉を進めている。
来年11月末までの初年度に、イノシシ100頭を丸ごと商品化する目標を掲げた。I T企業に勤務していた吉村さん、流通・アパレル関係の会社に勤めた藤丸さんが営業を担 当し、販路拡大を担う。吉村さんはつてを頼って北海道のバーや京都の日本料理店とも食 肉や加工食品を卸す約束を取り付けた。藤丸さんは生息地の拡大が進む羽咋市など能登で の事業展開を模索している。
社名は「ハタブネコンサルティング合同会社」とした。イノシシの事業が軌道に乗れば 、事業を子会社に託すやり方で成長する「旗艦」としての企業像を思い描く。
「規模はまだ小さいが、北陸新幹線の駅弁にイノシシ肉を使ってもらうなど、少しでも 北陸の名物を増やしたい」と吉村さん。今後はイノシシ事業とともに、各地で生い茂るク マザサを加工してアロマオイルやお香、リキュールなどへの商品化を検討していく。