何をするの?:県新年度予算案から/7 農作物の鳥獣害対策 [香川県]
◇被害深刻化に対応
農作物への鳥獣害の深刻化に対応するため、県は新年度当初予算案に積極的な捕獲や、捕獲の担い手確保に向けた人材育成をする特定鳥獣等個体群管理推進事業を盛り込んだ。野生鳥獣総合対策事業の一環で、事業費は5860万円。
これまでは、被害が出た際に市町が中心となって鳥獣を捕獲していた。新年度からは、改正鳥獣保護法(昨年5月成立、今年5月施行)で指定管理鳥獣とされるイノシシとニホンジカ、県内での被害が大きいニホンザルを対象に積極的に捕獲する。イノシシとニホンジカは市街地周辺と奥山、離島などの捕獲困難な地域で、ニホンザルは大規模な群れや加害性の強い群れに絞って捕獲する。
鳥獣害による県内の農作物被害額を09年度と13年度で比較すると、イノシシが5716万円から1億954万円に。サルは2733万円から3436万円、シカは239万円から1484万円と、いずれも拡大している。
県みどり保全課によると、以前はまきや落ち葉は重要な燃料として利用されたため、土壌はやせたままマツなどの針葉樹が多数を占めていた。だが落ち葉が使われなくなって土壌が肥える一方、マツクイムシ被害が拡大。広葉樹林に変化し、動物たちの生息範囲も広がっているという。
一方、主流の捕獲法であるわな猟の免許所持者は増えており、県は10年度の1072人が15年度には1600人に達すると見込む。ただ、免許所持者は60、70歳代と高齢層が中心のため、技術継承などを目的に人材育成に取り組む考えだ。【深尾昭寛】