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鳥獣食肉処理施設が本格稼働 古座川町 [和歌山県]


和歌山県古座川町月野瀬の町鳥獣食肉処理加工施設が11日、本格稼働を開始した。10日には、捕獲したシカやイノシシの受け入れについてや施設利用などに関する説明会が、近くの南紀月の瀬温泉ぼたん荘であり、県猟友会東牟婁支部古座川分会の会員ら約60人が出席した。町は「ジビエのブランド化を核に観光産業として地域活性化につなげたい」という。

 同施設は、農作物に被害を与えるシカやイノシシの肉を活用し、町の特産物にする目的で建設し、3月に完成。総事業費は6786万8247円で国の補助などを活用。年間処理能力は約千匹で、施設の運営は町の委託を受けてぼたん荘が担う。

 施設完成後は、品質の良い食肉にするため捕獲後の処理「止め刺し」の方法や運搬の仕方などを定めた衛生管理ガイドラインに沿って、猟友会員が仕留め持ち込んだシカ肉を加工。ぼたん荘の日替わりランチに出すなどし、本格稼働への準備を進めてきた。ぼたん荘の野崎洋一統括料理長や深海政也料理長、地域おこし協力隊の向井秀夫さんが解体・加工し、同隊の忠志緒莉さんが事務や販売を担当する。

 説明会では町の担当者が、施設の概要やジビエ市場の状況、取引先には東京や大阪の飲食店などが決まっていると紹介。肉は色や脂の具合によって3ランクに分け、市場に出していくという。個体は捕獲後すぐに止め刺しをし、2時間以内に原則として内臓を摘出せずに施設に運搬することが条件と説明。2時間を超えても4時間以内であればペットフード用として引き取る。

 食肉用の個体買い取り価格は、シカが精肉重量で1キロ500円、イノシシが同1キロ千円。50キロのシカの場合だと、3割に当たる15キロ程度の精肉が取れるので、7500円の買い取り価格となる。銃器などで内臓を打ち抜いた個体は、食中毒原因菌などに汚染されている可能性があるため、食肉用としては引き取らず、ペットフード用として引き取る。ペットフード用の個体はシカ、イノシシともに重量20~29キロが1匹500円、30キロ以上が1匹千円。10匹施設に搬入するごとにペットフード、ぼたん荘ランチ無料券、ぼたん荘温泉入浴無料券の中から一つをもらえる。

 和歌山市にあるイノシシ・シカの処理販売業「いの屋」代表の北浦順嗣さん、紀州ジビエ生産販売企業組合の指導員の北岡悟さんによる、食肉として流通させるためのポイントについての説明もあった。施設の内覧会とシカの解体の実演もあった。

 武田丈夫町長は「食肉にならない部分も有効に活用したいとペットフードの会社と連絡を取り、加工していくことになった。食肉の売り先は、私も東京方面に出向き開拓している。この施設は製品の品質において全国に引けを取らないと思う。今までのようにただ撃って楽しむだけでなく、産業として成り立たせるようにしていきたい」と述べた。

 町によると、まずは町内の猟友会に呼び掛けたが、売り先などの広がり具合を見ながら、足りないようであれば近隣市町村からの受け入れも考えているという。精肉はぼたん荘や町内の道の駅などでも販売していく計画。町内でジビエ料理教室などを開き、地元からも普及させていきたい考え。

 施設の営業時間は午前8時半~午後5時15分。金曜は捕獲個体の受け入れを休止する。問い合わせは町鳥獣食肉処理加工施設(0735・72・6006)へ。

【和歌山県猟友会東牟婁支部古座川分会の会員らを対象に開かれた説明会(10日、古座川町月野瀬で)】

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