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求むハンター 震災で減少、農作物被害深刻化 釜石で20年ぶり試験[岩手県]

 釜石市で20年ぶりとなる狩猟免許試験が20日に実施される。東日本大震災の影響で猟銃が流失したことなどで猟師の数が激減し、増加した野生生物によって農作物への被害が深刻化していることが背景にある。ただ、東京電力福島第1原発の事故による出荷制限などもあり、野生生物を食肉として活用する道にも課題が山積している。(高木克聡)

 実施される試験は網猟、わな猟、散弾銃などの装薬銃、空気銃の4種類。20年ぶりの試験とあって市も全面支援の態勢をとる。合格者に対し、受験料や試験に必要な診断書の作成料、免許の登録料などを補助する。補助率や限度額は合格者数などをみて決めるという。

 猟師が激減した背景には震災の津波がある。猟銃の所持などを定める銃刀法では、殺傷能力の高いライフル銃を所持するためには、散弾銃など別の銃の所持歴が10年以上必要とされる。

 県警生活環境課は「銃刀法は個別の銃を規制する法律。銃が1本でも残っていれば、継続となるが、全てなくなると許可が途切れ、再所持するためには一からやり直しとなる」と説明する。津波で全ての銃が流失した猟師の多くがライフル銃の再所持を諦めており、釜石・大槌連合猟友会によると、震災前140人いた会員は現在90人程度になっている。

 農作物への被害も深刻化している。県自然保護課によると、これまで3億円前後だった被害額は平成24年度に5億1180万円となった。自然保護課の担当者は「農家も県も被害対策に本気になっている。急増の要因はこれまで計上しなかった被害が表に出たことにあるが、実感として5、6年前から被害が増えている」と話す。

 これまでニホンジカの生息域は住田町、釜石市、大船渡市にまたがる五葉山周辺が北限とされていたが、生息数の増加や暖冬による降雪量の減少で県内全体に広がっているとされている。県では、五葉山周辺のシカの生息数について、統計調査を継続しており、25年3月で7400~1万頭と推計している。ただ、区域面積は県全体の約2割程度でしかなく、県内全体での調査は実施していないため、県内全体での生息数は把握できていない。

 猟友会からは、急増する野生生物を食肉として活用できないかという声が上がるが、それを阻むのが、東京電力福島第1原発の事故だ。基準値を超える放射線量が検出されたとして、クマ肉については24年9月から、シカ肉については同年7月、ヤマドリ肉については同年10月、県の全域を対象に出荷制限を受けている。

 厚生労働省によると、放射線量を管理できる場合、市町村単位で例外的に規制が解除される場合もあるという。しかし、全頭検査や専用の処理場の整備、加工の際に市職員の立ち会いなど厳密な管理が要求されるため、資源活用の道も険しい。

 
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