エゾシカ推定56万頭 昨年度 [北海道]
■ピークから3年連続減 狩猟捕獲数は振るわず
2013年度のエゾシカの推定生息数は約56万頭で、ピークだった10年度の65万頭から3年連続で減る見込みであることが、道のまとめでわかった。一方、順調に増えていた捕獲数は約13万頭(速報値)と、前年度を1万4千頭下回った。狩猟による捕獲が大幅に減ったことが響いた。
道によると、捕獲数は狩猟の規制緩和などを盛り込んだ緊急対策期間(6カ年)に入った10年度に初めて10万頭台に乗り、12年度には過去最高の約14万4千頭にまで増えた。
13年度には、国が鳥獣被害防止緊急捕獲等対策事業(3カ年)を開始。鳥獣保護法に基づいて知事の許可を得て捕獲にあたるハンターに、エゾシカ1頭につき8千円が支給され、初年度は138市町村が取り組んで7万4500頭分が支払われた。
こうした支援もあり、13年度の許可捕獲は前年度より約1万頭増加、約8万5千頭(13%増)と過去最高になった。しかし、その一方で狩猟による捕獲は約2万4千頭少ない約4万6千頭(34%減)に落ち込み、双方を合わせた全体の捕獲数を減らす要因となった。
道は、少雪傾向でエゾシカが越冬地に集まらなかったことや、警戒心が強まって、日中に姿を現さなくなったことなどが大きな要因ではないかと分析。狩猟による捕獲数が極端に減ったことについては「順調に伸びていたのに予想外だった」といい、車の燃料代の高騰などにより、ハンターが支援金の出る許可捕獲に力を入れたとも見ている。
推定生息数を道内の地域別に見ると、東部は21万頭(前年度比2万頭減)、西部は35万頭(同1万頭減)。東部はピーク時より8万頭、西部は2万頭減った(南部はデータが少なく未集計)。道は16年度までに推定生息数を38万頭まで引き下げる計画だが、現状では捕獲数が飛躍的に伸びる見通しはなく、目標達成は難しいとみられる。
(奈良山雅俊)