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わな猟強化へ 県が「仕掛け」 ニホンジカ捕獲[福井県]

 県内でニホンジカの生息頭数が増えて生息域が拡大しているのを受け、県が捕獲体制の強化に乗り出した。講習会を開くなどして、山林の状況に詳しい各森林組合の職員がわな猟免許を取得することを支援。今月二十三日から十月にかけては、わな猟の有資格者らを対象に実践的な研修を県内五市町で開く。量と質の両面から、わな猟によるシカの捕獲体制を整備していく考えだ。

 県によると、シカの推定生息数は嶺南が二万二千頭、嶺北が一万頭。ふんの調査や目撃情報などから、その生息域は県内全域に拡大しつつあるとみられ、県猟友会でも「対策を急がなければ、取り返しがつかないことになる」と危機感を募らせる。一方、市町の有害捕獲隊員の不足や猟師の高齢化もあって、県特定鳥獣保護管理計画に盛った捕獲目標「年間九千六百頭」の達成は難しいようだ。

 そこで、県が着目したのが、所持に関する法的規制が銃に比べて少なく、ほぼ年間を通じて取り組むことが可能な「わな猟」だ。国の交付金を活用し、二〇一四年度から、森林組合職員を対象に講習会を実施。県内十一組合のうち、福井市や九頭竜(大野市)、南越(越前市)、れいなん(小浜市)など七組合が協力し、計二十八人が七月二十一日と八月三日のわな猟免許の試験に挑戦。今月下旬の合格発表を待つ。資格取得後には、わな購入や補殺処分の費用などの活動費も助成するとし、県県産材活用課は「職員は山へ行く機会も多く、獣道にも詳しい」と期待を寄せる。

 また、経験の浅い「ペーパー資格者」を対象に福井、大野、小浜、南越前、美浜の五市町で県猟友会による研修も始まる。少人数制で、山に足を運んでわなの仕掛け場所の選び方などを学ぶ演習的な内容とし、即戦力の育成を目指す。県地域農業課では「嶺北での経験者が少ない」として、育成を急ぐ。

 二〇一二年の有害鳥獣による県内の農作物被害は九千五百二十三万円。このうち、シカによる被害は六百八十一万七千円と少ないが、樹皮をかじってスギが枯死するなど林業被害は深刻だ。下草が食べ尽くされ、山肌が露出して土砂が流出したり、生態系が激変したりと、環境にとっても「天敵」という。 (北原愛)

 
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