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<食卓ものがたり> ジビエ[長野県]

秋、レストランのメニューに「ジビエ」の文字が躍る。狩猟で捕ったシカやイノシシなど野生動物の肉だ。そのジビエ料理を売り物にしているのが、村歌舞伎で知られ、映画「大鹿村(おおしかむら)騒動記」(阪本順治監督、原田芳雄主演)の舞台になった長野県大鹿村だ。

 食害防止のため、わなによるシカの狩猟が年中認められている。村内の旅館や食堂は「ジビエ研究会」を結成し、村ぐるみでシカ肉料理を売り出している。

 かつて獣肉は血なまぐさいとか、内臓肉のようだと敬遠された。「それは処理方法が悪かったため。いまでは血抜きから三十分以内で内臓を取り出します。このため、血や内臓の嫌な臭いが移りません」

 そう話すのは、村唯一の処理・加工施設「ヘルシーミート大鹿」の蛯沢(えびさわ)義昭さん(64)。十年前から食肉処理を担当している。長野県が独自策定した信州ジビエ衛生管理ガイドライン・衛生マニュアルに沿った施設として認証を受けている。

 村の人口は千百人。シカは七千~八千頭ともいわれる。「村名の通りシカの里。いまでは年間四、五百頭ほど食肉処理しますが、野生のため可食部分が少ないのが悩み」。五〇キロの成体ならロース、モモ、肩肉で合わせて十キロ程度で、年間生産量は五トン。「柔らかいロースは引っ張りだこだが、モモは余り気味です」

 シカ肉の脂質は牛肉の十分の一、カロリー四分の一のうえ、鉄分などミネラルは豊富で、ヘルシー食材として注目の的。ヘルシーミートには有名ホテルや都市部のレストランから注文が絶えない。

 「今の時期、シカは太って、うまみが増します。おいしかですよ」。蛯沢さんは肉を切り分ける手を止め、自信たっぷりに話した。

 (文・写真、松川貴)

 
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