よい子のみんな エゾシカ肉 食べるんだ 札幌発新ヒーロー DO★カイザー[北海道]
増え過ぎたエゾシカ、みんなでいっぱい食べよう――。北海道で農作物を食い荒らすエゾシカの有効活用を呼び掛ける正義のヒーローが誕生した。その名は「DO(ドゥ)★カイザー」。仕掛けたのは、札幌市在住の会社員やデザイナーら有志5人で、地域に貢献したいと手弁当で準備を続け、今春デビューを果たした。衣装や音楽はプロが手掛けただけに見応えは十分だ。これまでに道内8カ所で無料ショーを開き、子どもたちから人気を集めている。 DO★カイザーは、絶滅したエゾオオカミをモチーフにした。エゾシカ団の鹿間敏之(しかまとしゆき)総統とライバル関係にある設定だ。エゾシカ団とは、エゾシカを増やして人気を高めようとしている「全道エゾシ化計画」をもくろむ集団。農家の畑を荒らすなどのいたずらもするため、DO★カイザーが懲らしめる。 ショーを通して伝えたいのは、生態系のバランスが崩れると自然や人間生活にも影響を与えてしまうということ、ただ有害獣を駆除するだけではなく、有効活用が重要ということだ。そうした思いをDO★カイザーに託し、子どもたちに「エゾシカは大事な仲間だけど、増え過ぎて困っている。いっぱい食べて自然豊かな北海道を守ろう」と発信する。 発案したのは、札幌市の広告企画業「エスベース」代表の下畑浩二さん(42)と、キャラクターデザインを手掛ける小林友和さん(38)。下畑さんは以前から「北海道に貢献したい」と考え、エゾシカ問題に行き着いた。「地産地消や自然環境を考える上で象徴的な問題。それを子どもたちに知ってほしい」と2008年、戦隊ヒーローを思いついた。 そうした企画に、音源や動画の作成に携わる綾智樹さん(38)や新妻達也さん(28)、佐々木佳久さん(43)も賛同、実現につながった。 ・無料ショー 人気絶大 ショーでは、ヒーローが着ぐるみの「ゆるキャラ」に見られないよう、ヒーローものの演技経験があるアルバイトに出演を依頼し、本格的なアクションを披露する。音響や司会も加わり、10~25分のショーに仕上げた。観覧中の子どもたちからは、DO★カイザーに声援が飛び交い、反応は「大受け」(下畑さん)という。 商業用ではない幼稚園などに出向くショーは無料。相談に応じて全国にも出向くという。問い合わせはエスベースの下畑さん、(電)011(596)6616。(山内希香)