ハンター増やして鳥獣被害を減らせ 狩猟税の減税拡充へ 来年度税制改正
政府は10日、来年度の税制改正で、都道府県がハンターから徴収している地方税の「狩猟税」を軽減する方針を固めた。レジャー目的の狩猟と、農作物を荒らす有害鳥獣の駆除をともに手がけるハンターを対象とする減税措置を拡充する。現在は狩猟税の半額を減税しているが、この減税額を5割以上とし、さらに税負担を軽くする。ハンターの減少に歯止めをかけ、野生動物による農作物被害を防ぐ狙い。14日の衆院選後の税制改正作業で減税幅を詰め、平成27年度税制改正大綱に盛り込む。
狩猟税は使用する銃や網、わなに応じて5500~1万6500円の税を毎シーズン支払う仕組み。現在、イノシシやシカなどの有害鳥獣の駆除を専門に行う狩猟者は非課税だが、来年度の税制改正では、趣味のハンティングに加えて、有害鳥獣の駆除も行う狩猟者の税負担を減らし、猟の担い手を増やす。
全国の狩猟免許所持者は昭和50年度に約51万8千人いたが、高齢化により平成23年度には約19万8千人と半分以下に減った。それに比例し野生動物による田畑への被害は増えている。農林水産省によると24年度の農作物被害は約230億円に達し、シカとイノシシによる被害が6割を占めた。
環境省はハンターの担い手を増やすため、狩猟税の全廃を求めていた。ただ、狩猟税の24年度の税収は全国で約17億円に上り、都道府県から反発の声もある。このため来年度税制改正では、減税措置の拡充にとどめる考えだ。