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里山の獣害に都会の力を…兵庫・篠山にNPO [兵庫県]

シカ、イノシシなどが畑の農作物を食い荒らす「獣害」を防ごうと、兵庫県篠山市に今月、NPO法人が設立される。人口減少で、野生動物と戦う力を失いつつある農村を、都会のマンパワーを使って支援する方法で、専門家から「先進的な取り組み」と、期待の声が上がっている。(中野真一)

◆過疎・高齢化

 元兵庫県立大講師の鈴木克哉さん(39)が設立する「里地里山問題研究所」で、略称は「さともん」。

 鈴木さんは北海道大大学院でニホンザルの農業被害を研究。京都大霊長類研究所を経て、2008年から兵庫県立大で研究の傍ら、県内の農家に、電気柵や打ち上げ花火を使った動物の撃退方法を指導してきた。

 しかし、被害地域は兼業農家が多く、平日は高齢者だけになりがち。篠山市ではサルやアライグマなどによる被害が増え、黒豆や山芋などの被害は年間1978万円(11年度)から、2052万円(13年度)になったが、現場で活動できる人材が不足していた。

 全国的に過疎化や高齢化が進む里山では、人が減って動物が近づきやすくなったことや、ハンターの減少で繁殖が進むことなどが、被害を深刻にしている。

 県内のサルの4割に当たる約200頭が生息する篠山市も同様で、県の計画に基づき有害駆除を進めているが、いたちごっこで被害額は減らないという。

 鈴木さんは、被害を受けた畑を前にぼう然と立つ高齢者の姿を見て、「これでは農村を守れない」と今年3月に大学を退職、NPOを設立することにした。

◆黒豆試食会

 計画では、まず都会で暮らす人向けに、活動資金を調達する年間3000円(1口)の賛助会員(個人)と、同5万円(1口)の企業会員を募集。農業イベントや黒豆など農作物の試食会に招き、地域の応援団になってもらう。こうした活動を重ね、獣害対策のスタッフ育成や、定住の促進につなげたいという。

 農林水産省などによると、獣害対策を扱うNPOは山梨県や岐阜県にもあるが、都会の人材活用を目指す手法は珍しいという。

 鈴木さんは「丹精込めた作物を食い荒らされるのはつらい。農村の素晴らしさを共有しながら応援できるネットワークを作りたい」と意気込みを見せる。問い合わせは鈴木さん

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