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広がるエゾシカ肉取扱店 駆除と利用の一石二鳥 [北海道]


エゾシカによる農林業被害などが深刻化し、道が計画的な捕獲や食肉としての活用を推進する中、苫小牧市内でもエゾシカ肉の取り扱い店が広がっている。スーパーなどは通年販売で脂質、カロリーが少なく、鉄分豊富でヘルシーなエゾシカ肉の消費拡大に貢献している。

 道エゾシカ対策課によると、道内のエゾシカによる農林業被害額は1989年度に14億5900万円だったのが、96年度には50億円を突破。狩猟や捕獲などで2004年度は27億9100万円まで減ったものの、個体数の削減には至らず11年度には64億900万円と平成に入って、最高を記録した。

 道は1997年度、庁内にエゾシカ対策協議会を設置。全道での捕獲数を94年度の2万8962頭から2013年度に13万2239頭まで増やし、13年度の被害金額を前年度比7億4100万円減の55億6300万円まで抑制している。

 同課は捕獲だけではなく、エゾシカ肉の有効活用を進めたい考え。15年度は全道の小中学校でエゾシカ肉活用に関する環境教育の実施や料理コンテスト、他の道産食材とタイアップした東京などでの試食会開催などを検討している。

 苫小牧市内では、昨年10月にコープさっぽろパセオ川沿店がエゾシカ肉の販売を開始。バラ、ロースから加工品のカレーまで多様なエゾシカ商品を取りそろえ、価格帯も100グラム当たり100~600円台と幅広い。

 鉄分の豊富さや低脂肪など栄養面での評価が高まっており、「定期的に決まった量を仕入れ、売ることにしている」と担当者。「購入者は中高年層が中心で身近な食肉として定着するまでは、時間がかかりそうだが粘り強く販売を続けたい」と話す。

 イオン苫小牧店は、今年6月に冷凍したエゾシカ肉のロースやバラ、スネ、ジンギスカンの4種類を発売。本州から来た人が珍しがってまとめ買いするケースもあるという。担当者は「一番人気はジンギスカン。一定の需要がある地域とみており、もっとアピールしていきたい」と言う。

 全道でのエゾシカの捕獲数は14年度も速報値で13万5000頭を突破。厄介者扱いされてきたエゾシカは、今や貴重な資源となっておりフードDを展開する豊月も「消費者の支持が広がれば、販売を検討したい」とする。

 道はシカ肉の消費拡大へ毎月第4火曜日を「シカの日」に設定するなどし、飲食店での普及にも力を入れる。

 エゾシカ肉を通常メニューとして扱う焼き肉店「牛角」を運営するアイビス(札幌市中央区)の担当者は「苫小牧店を含め、12年1月から取り扱っているが低カロリーで栄養価が高く、女性からの注文が多い」と語る。

 苫小牧のラーメン店、味の大王は4月に苫小牧産のシカ肉を使った「エゾシカぎょうざ」の販売をスタート。苫小牧産シカ肉を「とまこまいジビエ」としてブランド化し、浸透させたい考えだ。

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